1月20日にトランプ氏が大統領に就任。世界中が同氏の言動に注目をしておりますが、
特に、 日本は大きな影響を受けることになります。
トランプ氏が日本に対して仕掛けてくるのは、以下が容易に推測されます。
➀TPP よりも更に厳しい日米二国間協定(日米 FTA 協定)
➁日米安保の見直しと米軍駐留費の負担増
③郵政民営化に続く、農協解体、医療の株式会社化
特に、日米二国間協定(日米 FTA 協定)を考える上 で、参考になるのは、米韓二国間協定である。
◇米韓二国間協定(FTA 協定)と韓国社会の実際
2006 年 2 月から交渉が開始され、2007 年 4 月 1 日に締結し、2007 年 6 月 30 日に調印された。
さらに追加交渉が 2010 年 12 月初旬に署名された。 米国での合意法案は 2011 年 10 月 12 日に
下院を賛 成 278・反対 151 で、上院を賛成 83・反対 15 で 通過し可決された。
一方、韓国国会における批准同意案は、2011 年 6 月 3 日に韓国国会に提出され、野党が激しく反対し、
2011 年 10 月 28 日には、米韓 FTA に反対するデ モ隊が国会に乱入し、67 人が逮捕された。
2011 年 10 月、米国議会は国内法として米韓 FTA 履行法案 を可決し、その 102 条で国内法優先を
規定した。同法により米国国内法上は、同法の位置づけは下記と なるとされている。 韓国側でも
米韓自由貿易協定は 2011 年 11 月 22 日、議長職権で上程され、米韓 FTA 批准同意案が可決され、
2012 年 3 月 15 日に発効。
米韓 FTA の発効により 5 年以内に 95%の品目への 関税を撤廃し、保険部門における郵政改革も規定・
実現された。限度額/商品の変更は省令改正によって いたものが大韓民国金融委員会の監督を受けるよう
になり、新たな金融商品の販売は禁止となった。本協定には ISDS 条項と、「ラチェット規定」
(締約国が一旦市場を開放すると、何らかの事情により 後に規制した方が望ましいと思っても一旦開放
した市場の規制を強化することが許されないとする規 定)があり、これらを韓国国内では「毒素条項」
と呼んで警戒している。
◇米韓 FTA 後
2012 年の米韓 FTA 発効後、次が報告されている。
1)3年間で米国車の対韓輸出は3倍に増加
2)韓国の若年層の失業率は、12%と非常に高く、 格差が拡大。
最も自殺率が高いのは15~29 歳の若者層とされ、三放世代、七放世代と言わ れている。
三放は、恋愛、結婚、出産のこと。 七放とは、三放に加え、人間関係、マイホーム、 夢、希望を指す。
3)韓国の合計特殊出生率は 1.19 人で 2700 年に は、韓国人は地球上からいなくなるとされる。 世界有数
の学歴社会、財閥が GDP の 70%を占める など韓国経済そのものに格差を助長する要因があったのは
事実であり、米韓 FTA が全ての原因ではない が、上記のように、韓国は非常に厳しい状況にある。
TPP と二国間 FTA 協定は内容はよく似ているとれるが、日米 FTA 協定は更に数値目標を掲げるなど
厳しいものとなるに違いない。