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原油市場 見えぬ新秩序 NY一時30ドル台 新興国の需要低迷・供給過剰 投資滞ればリスクも

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原油市場 見えぬ新秩序 NY一時30ドル台
新興国の需要低迷・供給過剰 投資滞ればリスクも
2016/1/13 3:30 日経朝刊

 米原油市場で指標原油WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の
1バレル30ドル割れが目前に迫った。12年ぶりの安値は新興国がけん引する需要の
低迷と、産油国が制御不能に陥った供給過剰の帰結だ。原油市場失速のスパイラル
は世界経済にとどまらず、地政学の新たなリスクを増幅する。




「石器時代は石がなくなったから終わったのではない」。1970年代に石油輸出国機構
(OPEC)の時代を築いたサウジアラビアのヤマニ石油相が残した警句だ。
 サウジの当局者はこの言葉をかみしめているに違いない。サウジは世界最大級の
原油埋蔵量を持つ。生産余力は今も他の追随を許さない。だが、1バレル30ドル割れ
目前の原油価格は国家運営に深刻な影響をもたらしている。
 国際通貨基金(IMF)によると、サウジがこのままのペースで金融資産を取り
崩すと、5年で底をつく。政府は電気やガソリンの値上げを決めた。福祉や教育を国
が丸抱えする石油大国の面影はない。
 2000年代の原油高は、中国やインドなど新興国の旺盛な需要がけん引した。中国が
「新常態」と呼ぶ経済成長の減速の結果、需要が伸び悩むのは鉄鉱石や石炭など他の
資源と同じ構図だ。
 ただし、石油の場合、1年半で4分の1の水準へと、ジェットコースターのような
価格の急落をもたらした要因としてシェール革命がある。エネルギー分析の第一人者
である米国のダニエル・ヤーギン氏はシェールオイルの台頭を「4、5年前には誰も
想像できなかった」という。
 米国を起点とする供給革命は、原油の需給バランスだけでなく、地政学上のきしみ
も広げた。大産油国として台頭する米国にサウジは危機感を強める。サウジやイラン
などOPECの足並みはそろわず、非OPEC産油国の雄であるロシアとも距離が埋
まらない。
 シリア内戦やイスラム過激派の勢力拡大など中東は今、混迷を深める。サウジは
米オバマ政権の中東政策に不満を強め、ウクライナをめぐる米欧とロシアの対立も続く。
米国、ロシア、サウジ。国際政治の対立に石油の主導権争いが油を注ぐ。
 原油安は14年夏に下落を始めた時の見通しと比べて、長期化するとの見方が強まっ
ている。原油市場を安定に導く新たな秩序はまだ、見えない。原油安の先には何が待っ
ているのか。
 重要なのは「シェールの時代」が続く保証がないことだ。国際エネルギー機関(IEA)
は20年代に入るとシェールオイルの生産量は頭打ちになると予測する。
 IEAのファティ・ビロル事務局長は「原油安が10年単位で続くと原油の中東依存度
は70年代の水準に戻る。今、油田開発投資が滞れば、将来、急激に価格が高騰するリスク
がある」と指摘する。原油安は消費国にとって恩恵は大きい。だが、その長期化はいずれ
破裂するリスクをため込むことに注意しなければならない。
(編集委員 松尾博文)

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上記が日経の記事である。注目すべき動きがある。米国がキューバと和解したのと同様、
以前チャベス大統領と敵対関係にあったベネズラと米国が急速に関係をよくしている
ことである。実は、世界最大の原油埋蔵量が確認されているのはベネズエラである。

原油確認埋蔵量(単位:億バレル)


この10年間で4倍近くに増え、サウジアラビアを追い抜いている。
これは同国の開発技術が進み、採掘が可能とされる原油の量が飛躍的に増加したこと
が原因である。同国の原油確認埋蔵量には多くの「重質油」「超重質油」が加算されており、
これらを抽出するには技術の更なる向上と、費用もかかることが指摘されているが、
米国はシェールガスに加え、南米での原油の調達が可能となり、中東に頼らずとも
石油を確保できる体制構築に動いている。

問題なのは世界6位の原油埋蔵量のロシアである。同国の1バレル当りの生産コストは
Rosneftは生産コストが4ドル/バレル(サウジとほぼ同等)、Lukoilは損益分岐が25ドル/バレル
と言われるほどばらつきがあるが、下図のように30ドル前後が実力と言われており30ドルを
切る価格は国家財政を圧迫するのは確実であり、原油価格値上げにあらゆる手段を行使
してくる可能性があることである。
プーチン大統領の動向には、目が離せない1年になりそうである。








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